ドンペリ3本

「ドンペリって、結局何がすごいの?」

名前は知ってる。高いのも知ってる。でも、誰かに
「ドンペリって何?」
「高いのなんで?」
と聞かれたら、スパッと答えられない、そんな方向けにこの記事を書きました。

正直に言うと、私も最初は分かりませんでした。人にドンペリを贈る時に、分からないものは贈れないと焦り、とことん調べました。そして、実際に自分自身でドンペリを購入し飲み、価値が分からず怒りさえ湧いたという経験があります。

それから何度もドンペリと向き合った結果、気づいたことがあります。その怒りこそが、ドンペリの本質でした。

高級シャンパンで怒りが湧くなんて、そうそうない体験です。だからこそ、忘れられない存在になりました。

ドンペリは、向き合い方を間違えると魅力が分かりません。

この記事では、そんな実経験をもとに「ドンペリとは何か」をシンプルに整理します。専門用語は最小限にし、読み終わったころには、人に説明できるくらいになるはずです。

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「ドンペリって結局何がすごいの?」

ドンペリロゼのミュズレ

先に結論をお伝えすると、ドンペリのすごさは、味そのものよりも、飲んだ人の感情を強く動かすところにあります。

私はこれまで、シャンパンも高級シャンパンも、かなりの数を飲んできました。その中で気づいたのは、感情を動かすシャンパンは僅かだということ。そして、感情を動かされた一本は、ずっと記憶に残ります。

ドンペリは、まさにその記憶に残る高級シャンパンです。

高級シャンパンには、飲むと楽しい気持ちや陽気な気分にさせてくれる、ポジティブな方向に感情を動かすものもあります。でもドンペリは真逆で、「ミステリアス」。正体の掴みどころがなく、何度も確かめたくなる高級シャンパンです。

特に印象的なのが「怒り」でした。楽しい・美味しいは多くのシャンパンで感じられますが、ドンペリは負の感情まで引き出してきます。

高級シャンパンを飲んで怒りが湧いたのは、これまでドンペリだけ。普通に考えれば欠点のようですが、私はこれを「凄さ」だと感じています。

なぜなら、ここまで真逆の感情を抱かせた高級シャンパンが他にないからです。「何これ?」と怒りが湧いたからこそ、時を経て「ドンペリって結局何だったんだろう」ともう一度確かめたくなる。そうやって私は、何度もドンペリをリピートしてきました。

これは専門家の解説の受け売りではなく、たくさん飲んできた私自身の実体験から出た、正直な結論です。ドンペリの「すごさ」とは、感情を動かす力。これが、私が辿り着いた答えです。

結論:ドンペリとはこういうシャンパンです

ドンペリルミナス

感情の話が続いたので、ここで「ドンペリとは何か」を事実ベースでシンプルに整理しておきます。

ドンペリは、フランスのシャンパーニュ地方で造られるシャンパンで、正式にはドン・ペリニヨン(Dom Pérignon)と呼ばれます。造っているのは、シャンパン最大手のモエ・エ・シャンドン社です。

まず、基本情報を箇条書きにまとめます。

  • 正式名称:Dom Pérignon(ドン・ペリニヨン)
  • 生産者:モエ・エ・シャンドン社
  • 生産地:フランス・シャンパーニュ地方
  • 特徴:ヴィンテージシャンパンのみを造る(ブドウの作柄が良い年限定)
  • 位置づけ:日本では「高級シャンパン」の代名詞的存在

ポイントは、ドンペリが「いつでも同じものが買える定番品」ではないということです。

一般的なシャンパンは、毎年安定した品質で造られます。でもドンペリは、ブドウの出来が良い年にしか造られません。年号ごとに個性があり、その年だけの一本として扱われます。

そして、ドンペリには普段飲み用の商品がありません。造るのは最高級ランク(プレステージ)のシャンパンだけ。

つまりドンペリは、スパークリングワインの中のシャンパン、そのシャンパンの中でもさらに特別な一本という位置づけになります。

このあと、「なぜそんなに高いのか」を3つの理由に分けて見ていきます。

なぜドンペリは高いのか

天秤

ドンペリと聞くと、「高い」「特別」というイメージが真っ先に浮かぶ方が多いはずです。では、なぜ数あるシャンパンの中で、ドンペリはこれほど高いのでしょうか。

先に正直なことを言っておくと、ドンペリだけが特別に高いわけではありません。プレステージと呼ばれる高級シャンパンはどれも高価で、中にはドンペリより高いものもあります。そして高級シャンパンの価格は、希少性やブランドの価値も影響しています。

ただ、ドンペリには他の高級シャンパンにはない、はっきりした強みがあります。それは「高い・高級」というイメージが、日本中に定着していることです。

ドンペリは知っているけれど、他の高級シャンパン(サロンやクリュッグなど)の名前を知らない人は少なくありません。でもドンペリは、お酒に詳しくない人でも「高級なお酒」と知っています。

この圧倒的な知名度そのものが、ドンペリならではの価値です。そのうえで、ドンペリの価格の背景には何があるのか。

ここでは3つに分けて見ていきます。

毎年は造られないヴィンテージシャンパン

ドンペリ レガシー

ドンペリの大きな特徴は、「ヴィンテージシャンパンしか造らない」ことです。

ヴィンテージシャンパンとは、単一年に収穫されたブドウだけで造られるシャンパンのこと。ラベルやボトルには、必ずその年号が表記されます。

一般的なシャンパンは、品質を安定させるために複数年のワインをブレンドして造られます。一方ヴィンテージシャンパンは、単一年のブドウだけを使うため、出来の良い年にしか造れません。

つまりドンペリは、

  • 「いつでも買える定番商品」ではない
  • 年号ごとに個性があり、その年の一本として扱われる
  • 大量生産ではないため、自然と希少性が生まれる

そういうシャンパンです。常に同じものが棚に並ぶお酒ではなく、条件がそろった年にだけ生まれる一本。これが価格に表れる、最初の理由です。

長い熟成と品質へのこだわり

ドンペリ

ドンペリが高いもうひとつの理由は、時間のかけ方にあります。

ドンペリは、一番下のランクでも約8年の熟成を経てから出荷されます。味のバランスが整った状態になって、はじめて世に出すという考え方です。

さらに、品質基準を満たさない年は、そもそも造られません。時間も手間も惜しまず、納得できるものだけを出す。

「高級だから時間をかける」というより、時間をかけた結果が、価格に表れている。そう考えると、ドンペリの値段が少し理解しやすくなります。

名前だけで高級感が伝わるブランド

ドンペリロゼのミュズレ

ドンペリは、味や造りだけで評価されてきたシャンパンではありません。「高級」「特別な場で選ばれるシャンパン」「成功の象徴」というイメージを築いてきました。

日本では特に、メディアや映像を通じて、ステータスを象徴するようなシーンにドンペリが登場するのを目にする機会が多く、その印象が強く記憶に残っています。こうして「ドンペリ=高級・高価」という認識が、広く共有されてきました。

ブランドイメージは、目に見えないけれど確かな価値です。名前だけで価値が伝わる、その安心感も、ドンペリの価格に含まれていると考えてよいと思います。

お店で見るドンペリの値段は、また別の話

ここまで説明してきたのは、あくまでボトルそのものの価格の話です。

キャバクラやクラブなどのお店でドンペリを見て、「とんでもなく高い」というイメージを持っている方もいると思います。ですが、お店で出てくる金額と、酒屋やネットで買うボトルの価格は、分けて考える必要があります。

お店の価格には、ボトル代だけでなく、サービス料や場所代などが上乗せされています。同じドンペリでも、どこで買うか・どこで飲むかによって、支払う金額は大きく変わります。

この記事で説明してきた「なぜ高いのか」は、ボトル本来の価格についての話だと考えてください。お店で見た金額は、そこにお店の料金が加わったもの。別物として整理しておくと、混乱しなくなります。

ドンペリがミステリアスな理由、怒りが湧いた話

ドンペリコルク

ここまで「なぜ高いのか」を見てきました。でも、値段の理由が分かっても、ドンペリの正体はまだ半分しか見えていません。

冒頭で、私はドンペリに怒りが湧いたと書きました。高級シャンパンを飲んで怒るなんて、自分でも変だと思います。でも、実際に起きたこと。しかも、二度もです。

なぜ怒りが湧いたのか。そしてなぜ、その怒りが「もう一度飲みたい」に変わったのか。ここからは、私の実体験をもとに、ドンペリのミステリアスな部分を正直に書いていきます。

ドンペリを自分で買おうと思っている方、すでに飲んで「あれ?」と思った方には、特に読んでほしい内容です。

ドンペリは「閉じた」状態で出てくる

ドンペリロゼ

ドンペリを開けてすぐ、キンキンに冷えたまま一口飲む。実はこの状態のドンペリは、「閉じている」ことが多いです。

「閉じている」というのは、シャンパンやワインがまだ本来の表情を見せてくれていない状態のこと。香りも味わいも、持っている力をまだ出し切っていません。

ドンペリは長い熟成を経て造られるぶん、開けたてはとくに静かで、なかなか心を開いてくれない印象があります。ここで誤解してほしくないのですが、閉じている=まずい、ではありません。飲めば普通に美味しいです。

問題は、別のところにあります。2万円、3万円というお金を出した人は、どうしても「普通の美味しさ」ではなく「特別な美味しさ」を期待します。値段に見合った、わかりやすい感動を求めてしまう、これは自然なことです。

でも、高級シャンパンの価値は、実は「価格=美味しさ」ではありません。どれだけこだわりがあるか、個性を持っているか、そこに価格が表れています。

そして高級シャンパンの中には、飲んだ瞬間に「うわ、美味しい」とはっきり応えてくれるタイプもあれば、ドンペリのように、すぐには姿(魅力)を見せないタイプもあります。

ドンペリは、閉じている状態で評価をするのはもったいない。正体を明かすまでに、時間がかかる。だからこそ、ミステリアスなんです。

温度で表情が変わるシャンパン

シャンパングラスに温度計

ドンペリが「閉じている」と書きましたが、ではどうすればその扉が開くのか。鍵のひとつが温度です。

開けた直後のキンキンに冷えた状態だと、ドンペリは静かなまま。香りも味わいも、まだ奥に隠れています。ところが、グラスの中で少しずつ温度が上がってくると、ドンペリは表情を変えていきます。

閉じていた香りがほどけて、味わいや香りに複雑さが出てくる。同じ一杯なのに、一杯目とは別のシャンパンのように感じられるはずです。

しかしここで、多くの人が落とし穴にはまります。正直に言うと、私自身がこの落とし穴に、それも二度はまりました。

普通の発泡性のお酒のように、冷えているうちにぐびぐびと飲み切ってしまう。まるで喉の渇きを癒すように、ビールのような感覚で飲んでしまう。そうすると、ドンペリが表情を変える前に、空になってしまうんです。

変化する前に飲み終えてしまえば、「閉じたドンペリ」しか体験できません。つまり、価値を感じないままに終わってしまいます。

ドンペリは、急かされるのが苦手なシャンパンです。温度の変化を待てるかどうかで、見える景色がまるで変わります。

二度怒りが湧いた、だから忘れられない

抜栓したドンペリ

ここからは、私自身の話です。

最初にドンペリを口にしたのは、自分で買ったときではありませんでした。人に贈ったドンペリを私を含む複数人の前で開けてくれて、大人数で一杯ずついただいた、それが最初の出会いです。

そのときは正直、「こんなものか」と、何も感じませんでした。でも今思えば当然で、1杯程度であったのと、贈ったものだったので、そもそも価値を見出そうしていませんでした。

自分のお金でドンペリを買ったのは、そのあとです。

一度目。自分でドンペリを買って開けて、冷えたまま二人でぐびぐび飲み、すぐに空になりました。

結果、価格に見合う価値が分からなかった。「高かったのに、これ?大したことないじゃん」と、悔しさと怒りが湧いて、「もう二度と買わない」と思いました。

ところが、時間が経つと不思議なことが起きます。あれだけ怒ったのに、「もう一度、正体をつかみたい」という気持ちが、じわじわと湧いてくるんです。

それで、二度目。……また同じ飲み方をしました。喉の渇きを癒すような、あの飲み方です。

当然、結果も同じ。二度目も同じ怒りでした。そしてまた「もう二度と買わない」と思いました。

我ながら学習していないのですが、ここでも引き下がれませんでした。理由は、2つ。

1つ目は、こんなに名の知れた高級シャンパンが、こんなに普通なわけがないという思いが消えなかったこと。そして、2つ目は、「二度も同じ感情を抱かせるシャンパンって逆に凄いかも」という思いが芽生えたこと。

つまり、また正体を掴みたい欲求に駆られました。これだけ、美味しい楽しいとは真逆の感情に触れる高級シャンパンがなかったからです。

そして時を経てまた三度目。たまたま、ゆっくり飲もうという気分でした。一杯目と二杯目、じっくり時間をかけてみたんです。

そのとき、ようやく分かりました。

グラスの中でドンペリの表情が変わっていく。閉じていた香りがほどけて、味わいや香りがみるみる変化し、複雑さが出てくる。「ああ、これか」と腑に落ちました。

あの二度の怒りは、ドンペリがまずかったからじゃない。私が、ドンペリの扉が開く前に飲み切っていただけだったのだと悟りました。

正体が見えかけたと思った瞬間、怒りは消えましたね。代わりに残ったのは、「このシャンパンは、ちゃんと向き合った人にだけ応えてくれる」という感覚です。ミステリアスというのは、こういうことだと思います。

ただ、何度も飲むうちに、もうひとつ気づいたことがあります。温度とともに開いたドンペリは、そのまま開ききるのかと思いきや、後半はまた静かに閉じていくような感覚があるんです。

結局、全貌をつかませてはくれない「ミステリアス」さがあります。でも、それが、ドンペリの魅力であり、リピートしてしまう「すごさ」であると感じています。

もしこれからドンペリを飲むなら、私のように二度も遠回りする必要はありません。ぜひ一度、自分で一本買って、ゆっくり時間をかけて確かめてみてください。向き合い方さえ間違えなければ、ドンペリはちゃんと応えてくれます。

次に読む記事、あなたの目的はどれですか

ドンペリ2本

ここまで読んで、ドンペリの正体が少し見えてきたのではないでしょうか。

ここから先は、人によって知りたいことが変わります。あなたの目的に合わせて、次に読む記事を選んでみてください。

■ 自分で飲んでみたい・買ってみたい方

ドンペリには白・ロゼ・P2など複数の種類があり、それぞれ価格も立ち位置も違います。「どれを選べばいいのか」「いくらくらいなのか」そして「どこで買えるのか」までを整理した記事があります。

▶ ドンペリの種類と値段を一覧で比較|価格順でわかる全ラインナップ早見表

■ 誰かに贈りたい方

結婚祝い、退職祝い、還暦祝いなど、大切な人へドンペリを贈ろうと考えている方へ。箱の有無、名入れ、正規品と並行品の違いなど、贈る側が迷いやすいポイントを、実際に贈ってきた経験を交えてまとめています。

▶ ドンペリ プレゼント・ギフトの選び方|失敗しない1本と贈り方【実体験】

■ 正しい飲み方・楽しみ方を知りたい方

この記事で書いた「閉じている」「温度で変わる」を、実際にどう扱えばいいのか。後悔しない飲み方や、相性のいいおつまみについても、別の記事で具体的にまとめています。

▶ 初めてのドンペリ、飲み方完全ガイド|初心者が避けたいNGと後悔しない楽しみ方

まとめ|ドンペリとは「感情を動かす」高級シャンパン

ドンペリ

最後に、この記事をふり返ります。

ドンペリは、フランスのシャンパーニュ地方で造られる、正式名称ドン・ペリニヨンという高級シャンパンです。出来の良い年にしか造られないヴィンテージシャンパンで、長い熟成を経て出荷されます。「高い・高級」というイメージが日本中に定着していること、これもドンペリならではの強みです。

でも、私の実体験から言うと、ドンペリの本当のすごさは、飲んだ人の感情を、強く動かすことです。

私は、ドンペリを飲んで「正体が掴めないミステリアスな存在」に怒りを感じ、記憶に残る高級シャンパンになりました。そして、何度も向き合い、飲み方に気を付けることでようやく価値を感じられるようになりました。閉じていた扉が、温度とともに開いていく、最後は納得に変わりました。

何度飲んでも、ドンペリは全部を見せてくれません。掴めそうで掴めない、でも私は、それこそがドンペリの「すごさ」だと思っています。だからこそ、感情が動き、また飲みたくなる。

そしてもし、自分でも確かめてみたくなったら。ぜひ一度、ゆっくり時間をかけて、ドンペリと向き合ってみてください。

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この記事を書いた人

プロフィール

Yua.|全日本ソムリエ連盟認定ソムリエ・シャンパーニュ委員会公式MOOC修了

最初はワインが苦手でしたが、ドンペリをギフトに選んだことをきっかけにシャンパンやスパークリングワインの魅力に気づき、これまで100本以上を試飲。

実体験をもとに、初心者にも寄り添った「シャンパン・スパークリングワイン選びをもっと楽に!」をテーマに発信しています。

「トキメキを感じられる」「寄り添ってくれる」「場がパッと明るく陽気になる」など、感情やイメージで選べるシャンパン選びも提案。ギフトや自分へのご褒美にぴったりの1本が見つかるサイトを目指しています。

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