最近、とあるワイン雑誌の一文を読んで、思わずズドンと心を射抜かれてしまいました。
fa-lightbulb-oその文を読んだことで、ドンペリことドンペリニヨンに対してずっと疑問に感じ、心に引っ掛かっていたことが解決したんです。それが、28年もの間ドンペリことドンペリニヨンを導き、2018年末でドンペリの醸造責任者を引退したリシャール・ジェフロワ氏の下記発言でした。
『ドン ペリニヨンは、力強さからはほど遠い存在です。力は記憶に残らない。私は跡を残すのです』-リシャール・ジェフロワ氏
引用元:Winart (2012) No.67 美術出版社 pp.142
力強さで表現する簡単な美味しさよりも、人の心に跡を残すのがドンペリ。
もう、このジェフロワ氏の発言に今まで抱いてきた疑問が解決し、思わず感動してしまいました。
実は、何度飲んでもドンペリの正体が掴めずにずっと疑問を抱いていました。ドンペリは簡単に美味しさを感じるシャンパン達とは一線を画しているのは分かっていたんですが、どんなシャンパンなのか、正体が掴めないミステリアスな感覚自体に「これで良いのか」と自分の飲み手としての技量に不安と悔しさがあったんです。
でも、ジェフロワ氏の言葉を読んで、ようやくそんな疑問や不安に終止符を打つことができました。
ドンペリは力任せの美味しさを表現するシャンパンじゃない!
ジェフロワ氏の発言を読んで、そう気づきましたね。
力強さがあるシャンパンは、飲んだ瞬間からガツンとインパクトが押し寄せるので、美味しさはすごく感じやすいのです。でも、そういった力強さのあるシャンパンの多くは、よっぽどの力強さやインパクト、他の魅力がないと記憶に残らないんです。まさに跡に残らないということ。
ドンペリはその逆。力強さからくる、手っ取り早い美味しさは感じられないけれど、心に跡が残る。私が抱き、ずっと忘れられない悔しさという感情もドンペリが残した跡だったのだとようやく納得ができました。
この「跡」が気になり、また確認をしようとドンペリをリピートしたくなるんですよね。改めて、そんなドンペリに凄みを感じますし、深いなと感じます。
それでは、また!