「ドンペリの価格、なんでこんなに高くなったの!?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。というのも、個々約10年で同じドンペリ白の価格がじわりじわりと約2倍以上に跳ね上がっているのです。
同じドンペリなのに、なんで高くなった!?
ということで今回は、ドンペリの価格が上がった理由についてまとめておきたいと思います。
昔は安かったのに!ドンペリ価格、具体的にどれくらい高くなった!?
私の人生の中だえ、ドンペリことドンペリニヨン(白)が最も安かった時期は2008年に起きたリーマンショック(世界的な金融・経済危機)の後でした。
2010年、2011年あたりだったと思いますが、その頃のドンペリ白の価格は1万2千or3千円台程度セールやキャンペーンなどで9千円台のドンペリも販売されていたのを記憶しています。
そして、2024年のドンペリ(白)の価格は、2万台後半~3万円台という価格。「どっひゃー!」という価格差なのです。約10年でこの価格差を経験。とにかく驚きの価格差なんです。
1万3千円台 VS. 2万台後半
ただ、急に2倍になったというわけではなく、10年というスパンで徐々に値段が上がっていったので、
あれ、ドンペリ高くなったな・・。
と、ふと気づく方が多いのではないかと思います。となると、気になるのはその価格差の理由。
ということで、色々なデータを集めたので、次に大きな価格差が生じた理由について見ていきましょう。
ドンペリの値段や価格が高くなった!値段が上がった理由に迫る!
まず、色々と仮説を立てながら2010年のデータと、2021年(一部2018、2019、2022)を比べてみました。※参考データについては、最後にまとめて記載しています。
ドンペリ価格が上がった理由は、税金ではない!?
まず最初にドンペリの価格が高くなった理由について次の2つの仮説を立ててみました。
- 消費税や関税(税金)が上がったから、価格が高くなった
- シャンパンは輸入品、為替の影響で価格が高くなった
これら2つの仮説は妥当なのか実際にデータを見たところ、これは価格上昇の理由にはなりませんでした。消費税や関税についてのデータは次の通り。
2010年
|
2021年
(2019、2022) |
|
ドンペリ(白)価格 | 13,000円台~ | 27,000円台~(2022) |
消費税 | 5% | 10% |
関税*1 | 約136円(750ml) | 0円(2019年撤廃) |
消費税は確かに5%から10%に増加しているんですが、それがドンペリ価格が高くなった理由にはならないんですよね。なぜなら、消費税が5%アップしたとしても単純計算であれば1万3千円台のままのはずなんです。
それに関税に関していえば、2019年2月に日欧EPA(経済連携協定)が発効され、EU加盟国のワインの関税が撤廃されました。シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方のワインのためこの協定に該当します。
となると、逆に価格が安くなってもおかしくないのですが、ドンペリ価格は上がるばかり。つまり、価格差に関税の影響はありません。(スパークリングワインの輸入量はアップしていました。*2)
となると、次はドンペリは輸入品ということから為替の影響を疑います。実際にどうなのでしょうか。
ドンペリ値段が高くなった理由は、為替の影響!?
新たな仮説は、次の通り。
- 為替の影響で、ドンペリの値段が上がった
この仮説を検証すべく2010年と2021年のユーロの為替情報を調べてみると次の通り。
2010年 | 2021年 | |
ユーロの為替(年間平均TTS)*3 | 117.89円 | 131.39円 |
確かい違いはありそう。
計算してみると、ドンペリ1本が110ユーロだと仮定すると、2010年のドンペリは1万3千円程度。2021年は1万4千5百円程度。うーむ、価格は2倍にはならないのです。
つまり、為替の変動は価格が2倍になった理由にはならないことが分かりました。
これらを踏まえると、どうやらドンペリ自体の価格が高騰しているのだと分かりました。となると浮かんだのが最後の理由「需要と供給のバランスが崩れたのではないか」ということ。
さあ、どうでしょうか。
ドンペリの値段が高くなった理由は、需要と供給のバランスが影響!
ということで、別に次の2つの仮説を挙げてみました。
- 全般的にドンペリ(シャンパン)の需要が上がって、需要と供給のバランスが崩れて価格が高騰化した
- 日本でのドンペリ(シャンパン)需要が上がって、需要と供給のバランスが崩れて価格が高騰化した
この仮説を検証すべくデータを集めてみたところ、下記の通り。
2010年 | 2021年(2022) | |
ドンペリ(白)価格 | 13,000円台~ | 27,000円台~(2022) |
フランスから中国へのシャンパン出荷量(フルボトル)*4 | 1,103,763本 | 2,103,172本 |
フランスから日本へのシャンパン出荷量(フルボトル)*4 | 7,46,935本 | 13,814,057本 |
シャンパンの出荷量(全体)*5 | 319,613,186本* | 約320,000,000本 |
なんと、この仮説「需要が供給量を上回ったため、価格が上がった」は妥当性が見い出せました。中国や日本へのシャンパン出荷量2010年に比べて2021年は倍近くになっているのが分かります。
これは、日本においてシャンパン需要がアップしたと考えられますが、両国において2倍になったのなから、シャンパン全般的に需要が上がったと捉えても良いと思います。(成長が著しい認識が強い中国を今回取り上げました)
一方で、シャンパン全体の出荷量はというと2010年・2021年で大きな差はなくほぼ横ばい。供給量は変わらないのに、中国と日本の出荷量は2倍になりなったことを考えると、この10年で需要が大きくアップしたことが伺えます。
やはり2010年からこの10年で日本国内だけにおいても需要と供給のバランスに大きな変化があったということ。
さらに、天候などによってシャンパーニュ地方のブドウの出来栄えや収穫量も変わってきます。収穫量が少なければおのずと特定の年において出荷量や生産量が少なくなることに・・。シャンパンの出荷量が少なければ、おのずと需要も上がってしまいます。2022年、2023年はまさにそんな年だった気がします。
そして需要が供給量を上回れば、価格は高騰していきます。オークションをイメージすると分かりやすいですよね。
今後のドンペリ価格、見通しは!?
今後、ドンペリの価格はさらに上昇してもおかしくないと個人的には考えています。世界的金融危機や大きな経済不況等が起これば状況の変化もありうると思いますが、このまま需要が増え続ければ当然値上がりが予想されるはず。
というのも、シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で造られているシャンパンですが、ブドウの栽培面積には限りがあるからなんですよね。2010年と2021年のブドウの栽培面積を調べると下記の通り。
2010年 | 2021年
(2018・2019) |
|
ブドウの栽培面積(ヘクタール) | 33,350 *6 | 34,200 *4 |
この10年で、ブドウの栽培面積は横ばいという印象が強いのです。つまり、今後も供給量の大きな増加は見込めそうにないということ。それに加え、昨今は輸送費も上昇傾向にあります。
そうなると今後も価格が高騰化する可能性が否めない。
さて、ドンペリの価格はどこまで上がるのか・・。
これまで手にできたドンペリも、幻のドンペリというような感覚になるのでしょうか。それとも、ドンペリに代わる新たな高級スパークリングワインがが定着するのか。今後の動向に期待したいところです。
以上が、「ドンペリの価格がなぜ上がったのか。理由について」でした。それでは、また!