やっぱりシャンパンのマグナムって美味しいの!?
この質問、実は何度も聞かれたことがあるんですよね。この「シャンパンのマグナムは美味い」という説、私も何度も耳にしたことがありました。
でもこれって実際どうなのでしょうか。
ということで、「シャンパンのマグナムは普通のフルボトルのシャンパンより美味しいのか」、今回は知識と共に解説していこうと思います。
シャンパン、マグナムの方が美味しい説、実は間違い!?
この「シャンパンはマグナムの方が美味しい」という説、ズバリ、「マグナムだから美味しい」というわけではありません。でも、「マグナムの方が美味しい」という説は嘘でもないんです。
というのも、出荷して経過する時間や時期によっては「マグナムの方が美味しい」可能性が出てきます。
これはどういうことかというと、シャンパンのボトルサイズと熟成が影響しています。
シャンパン、マグナムボトルはフルボトルより熟成スピードが緩やかって知ってた!?
シャンパンは、パーティによく使われることから、様々なボトルサイズがあります。どんなボトルのサイズがあるかはボトル種類で詳しくまとめていますが、そんなボトルサイズによってシャンパンの熟成スピードが違ってきます。
シャンパンのボトルサイズで、日本でもよく知られているのが下記3タイプ。
- ブテイユ 750ml(フルボトル)
- ドゥミ 350ml(ハーフ)
- マグナム 1500ml(マグナム)
最もスタンダードなのが、フルボトルと呼ばれる「ブテイユ(750ml)」。そしてその半分量のボトルがハーフと呼ばれる「ドゥミ(350ml)」。さらに、大きいボトルとして世に知れ渡っているのがフルボトル(ブテイユ)の2倍量の「マグナム(1500ml)」です。
下記画像はマグナムのスパークリングワインとブテイユ(フルボトル)のシャンパン。マグナムが一回り大きいことが分かります。
そして下記画像はブテイユ(フルボトル)とハーフの並んだ画像で、ハーフはブテイユ(フルボトル)よりも一回り小さくなります。
これら3タイプが日本ではよく知られているシャンパンのボトルサイズなんですが、この3つのボトルサイズを熟成が進むスピード、速い順に並べると次の通り。
- ドゥミ 350ml(ハーフ)
- ブテイユ 750ml(フルボトル)
- マグナム 1500ml(マグナム)
つまり、ボトルサイズが小さい方(量が少ない方)が熟成が早いんです。具体的にはハーフボトルの方が、フルボトルよりも2倍速く熟成が進みます。これはフランスのシャンパーニュ委員会で公式に情報が出されています。
では、マグナムボトルは!?
マグナムボトルのシャンパンは、ハーフ(350ml)よりも、そしてフルボトル(750ml)よりも熟成の速度が緩やかに(遅く)なります。
つまり、マグナムボトルの方が酸化しづらく(劣化しづらく)、長期保存には向いていることになります。
ここまでで、ボトルサイズの熟成速度の違いはお分かりいただけたと思いますが、それと「マグナムボトルの方が美味しい説」との繋がりがまだ見えないはず。
ということで、説明していきましょう!
なぜ「マグナムボトルの方が美味しい」と言われるのか、理由とは!?
冒頭では、シャンパンは「マグナムだから美味しい」というわけではないとお伝えしました。まずはこの理由を見ていきましょう。
先ほど、ボトルサイズによって熟成の速度が違うことが分かりました。熟成については別記事にまとめていますが、シャンパンの熟成はコルクを通して酸素が自然にボトルに入り、ガス交換が行われることで進んでいきます。
この熟成において重要なポイントは「時間」。時間の経過と共に熟成が進んでいき、味に差が出てきます。
ということは、出荷後、時間が経ってない場合は、ハーフサイズ(ドゥミ)・フルボトル(ブテイユ)・マグナムにおいては味に大きな差はありません。つまり、この初期の時点では「マグナムボトルの方が美味しい」とは言い切れず、逆にハーフの方が熟成が進み美味しい可能性があるのです。
ではシャンパンが出荷されてから時間が経過するとどうか。熟成によって「マグナムの方が美味しい」説が現実味を帯びてきます。
なぜなら、マグナムボトルはハーフやブテイユ(フルボトル)よりも熟成が緩やかに進むため、ハーフやフルボトルが過熟成になる時期でも、まだまだ飲み頃という可能性が高いからです。
例えば、売れ残ったシャンパン、セラーで10年保管されたハーフボトルとマグナムボトルがあり、それを10年越しに抜栓するとします。どちらが美味しいか、これは「マグナムボトルの方が美味しい」という説に軍配が上がります。
つまり、なぜマグナムボトルの方が美味しいと言われるかというと、
マグナムボトルの方がハーフボトルやフルボトルよりも熟成が緩やかに進み、長期保存に向いているから
これが、理由です。マグナムボトルは、長期という時間の長さに強いのです。
実は以前、長期保管された有名シャンパンブランドのハーフボトルを飲んだことがあるんですが、まさに「過熟成」という言葉がぴったりでした。
決して飲めないわけではないんですが、密過ぎるというか、濃すぎるとというか、ねっとりまろやかすぎるという印象が強かったんです。
このハーフボトルまさに酸化が進んだ状態で瓶内の気圧も低かったのか泡も弱めでした。でも同じシャンパンで、ブテイユ(スタンダード)やマグナムのボトルだったら状態は違ったはず。
同じ時期に出荷された、違うボトルサイズのシャンパンを同時期に飲み比べすることはまずないので、実際に比べることはできませんが、きっとこの時期にマグナムを飲んで比べていたら、
マグナムの方が美味しい!
と豪語していたことでしょう。
シャンパンの知識が増すほど、どんどんシャンパンライフが面白くなってきています。さあ、私はどこまで進むのでしょうか・・。
以上が、「シャンパン、マグナムの方が美味しい説ってホント!?」でした。
それでは、また!