ワインの中には美味しく飲むために、「熟成」が必要と言われているものがあります。
有名なのは「赤ワイン」ですよね。私自身、「熟成」が必要と言われている赤ワインを熟成させずに飲んだことがあるのですが、その時の衝撃は忘れられません。
あまりの渋さにとても飲める状態ではなく、吐き出してしまったほど。その際に熟成の重要さを知ったのですが・・、それは赤ワインの話。
ということで、今回は、そんな『シャンパンと熟成 について』まとめておこうと思います。
ワインにおける熟成とは!?熟成って何!?
そもそも、「熟成」とは何なのでしょうか!?国語辞典で調べてみると、「熟成」とは次の通り。
【熟成とは・・】
1 成熟して十分なころあいに達すること。「機運が熟成する」
2 魚肉・獣肉などが酵素の作用により分解され、特殊な風味・うまみが出ること。発酵を終えたあとそのままにし、さらに味をならすこともある。なれ。「味噌が熟成する」
3 物質を適当な温度などの条件のもとに長時間置いて、ゆっくりと化学変化を起こさせること。
出典:熟成 - コトバンク
つまり、「ワイン」における熟成というと、より美味しさや旨味を出すために、適切な環境で長期間保管するということ。飲み頃になるまで待つという意味合いも含んでいます。
では、シャンパンは熟成が必要なのでしょうか。本題に入っていきましょう。
シャンパンは熟成が要らないってホント!?すぐ飲める!?
結論から言うと、fa-lightbulb-oシャンパンは熟成の必要性はなく、出荷時点ですでに飲み頃を迎えているためすぐに飲めます。
というのも、シャンパン、熟成のピークを迎えてから出荷されるため、出荷時点で美味しく飲める状態なんですよね。
出荷前、シャンパンの熟成期間は!?
実際の熟成期間は、各シャンパンによって違うのですが、最低熟成期間が定められています。
- ノン・ヴィンテージ(スタンダード):最低15ヶ月間~
- ヴィンテージ:最低3年間~
最高級のプレスティージュとなると、ヴィンテージ以上で5年以上の熟成期間が多く、10年を超えるものあります。
自分が飲むシャンパンの明確な熟成期間を知りたい場合は、ショップの商品説明や生産者の公式サイトなどで確認できることが多いです。
つまり、シャンパンの場合はすでに、長期の熟成を経て飲み頃となってから出荷されているということ。なので、シャンパンにおいては、飲み頃かどうか見分ける必要もなし。これは飲み手にとってとても助かります。
ただ、これはシャンパンが熟成しないということではありません。シャンパンもワインと同じように熟成が可能。フランスのシャンパーニュ委員会からも「すぐに飲むことも出来るし、カーヴに数年保存することもできる」と見解が出ています。
なので、個人的好みや飲むタイミングによっては熟成(適切な環境にて長期保管)させてもOK。実際、シャンパンを購入してから「熟成」させると美味しくなるという玄人さんの意見があります。
ということで次はシャンパンと熟成について少し詳しくみてきましょう。実はシャンパンの熟成、ボトルサイズによって熟成のスピードが異なります。
シャンパンの熟成について知る!ボトルサイズと熟成のヒミツ!
シャンパンを含むワインの熟成は、様々な要因が関与しているとされ、全てが解明されているわけではありません。ただ、明らかな要因として熟成の1つの鍵を握っているのが「酸素との触れ合い」。ガス交換と呼ばれる現象があります。
シャンパンの醸造過程で、ワインが瓶詰されて発泡が起こると炭酸ガスが出現します。それと共に瓶内の気圧も高まりますが、その代わりに酸素が消費されていきます。
瓶内で酸素が消費され、酸素が少なくなるとどうなるのか。コルクを通して瓶外から酸素を取り入れるという自然現象が起こります。これがいわゆるガス交換と呼ばれるもの。このガス交換により、酸素がワインに入ることによって熟成が進むのです。
これは気圧を測ると明らかで、熟成期間の長いヴィンテージシャンパンやプレスティージュシャンパンになると瓶内の気圧が下がるのだそう。実際、熟成期間の長いシャンパンを開けると、スタンダードのシャンパン(ノン・ヴィンテージ)よりも発泡が弱く感じることがあります。
この「酸素との触れ合い」が、シャンパンの熟成に大きく関与しているのですが、シャンパンの熟成はボトルサイズによって熟成の速さが異なってきます。
シャンパン、熟成が最も早いのは小さいボトル!?ボトルサイズと熟成!
シャンパンはたくさんのボトルサイズがありますが、実は小さいボトルの方が熟成が早く、大きいボトルの方が熟成が緩やかに進みます。
上記の画像は、左がフルボトル(ブテイユ:750ml)のシャンパンで、右がマグナムボトル(1500ml)のスパークリングワイン。この2本だと、フルボトルのシャンパンの方が熟成が早く進みます。
これはボトル内のワイン容量と取り入れる酸素の量が関係しているんですよね。シャンパンは、自然の現象として時間経過と共にコルクを通して酸素がシャンパンの瓶内に入るとお伝えしました。この酸素の量が、瓶内のワイン容量に対して多くなるほど、熟成が進みます。
つまり、ワインの容量が少ないハーフボトル(350ml)の方が容量に対して酸素の取り入れ量が多く、熟成が早く進むということ。よく知られているハーフボトル(350ml)、フルボトル(750ml)、マグナムボトル(1500ml)を熟成スピードの速い順で並べると次の通り。
- ハーフボトル(350ml)
- フルボトル(750ml)
- マグナムボトル(1500ml)
ハーフボトルは、フルボトルの2倍の速さで熟成すると言われています。どのボトルサイズもコルクの大きさは容量ほど大差がないため、取り入れる酸素量はさほど変わらなくても、容量の差は大きいということです。
なので、同日に出荷されたシャンパンで同じ期間、長期に渡って保管されたものでも、味わいは異なるということ。なぜなら、熟成具合が違うからです。
よって、長期保管という意味では、この3サイズの中では熟成が緩やかなマグナムボトルが最も長期保存に向いています。
ここまでシャンパンと熟成について記載すると、「熟成させてみたい」と思う方も多いのではないでしょうか。ただ、熟成には注意が必要、劣化と隣り合わせだからです。
シャンパンの熟成、常温はNG!?保存・保管状態がカギを握る!
シャンパンの熟成、ただ単に長期で置いておけば良いというわけではないんです。シャンパンを熟成させるには、適切な環境での長期保管が重要になります。
というのも、日本のように季節によって温度差が激しい場合、出現する炭酸ガスの量が日々異なり、酸素の消費量も取り入れる量も乱高下することになります。過度に熟成が進めば、酸化が進み劣化へと繋がりかねません。特に高温多湿の時期はキケン。
なので、日本においては、日常生活での保管は難しく、「熟成」のためにはセラーが必須。せっかく長期保存をしても、劣化してしまえば本末転倒。よってセラーがない場合は、自宅で長期保管(追加熟成)せずに早めに飲みましょう!
シャンパン、追加熟成するとどうなる!?美味しいの!?
実際のところ、「シャンパンは長期保存でさらに熟成し、人を魅了する」というのは様々な媒体からも発信されていて、玄人さんからも同じような意見が挙がっています。
そして私自身、知人宅で購入してから5年間セラーで保管されたシャンパンを飲み、あまりの美味しさに驚いたことがあるため、それも事実なのだと感じました。
では、熟成すると具体的にどうなるのでしょうか。一般消費者として分かることを簡単に言うと、
「まろやかになる」、「柔らかさや深みが出る」。
この一言がしっくりきます。ただこれはセラーで保管されていたシャンパン。一方で適切な環境ではない場所で保管され、過熟成したシャンパンに出会うと、「密すぎる」「しつこい」「濃すぎる」「泡が弱すぎる」というのが私自身が経験したリアルな口コミです。
でもこれらは、シャンパンやワインの経験値があってからこそ分かること。
比較できる土台があって初めて違いが分かるので、ワインやシャンパン初心者さんの場合は、まず土台作りという意味でも、追加熟成せずに、購入して早い段階でシャンパンを楽しむことがオススメです。
fa-lightbulb-o熟成しなくても十分美味しい、それがシャンパンの魅力なのです。
以上が、『買ったシャンパン、熟成って必要なの?シャンパンと熟成について』でした。
それでは、また!