泡
「古いシャンパンって飲めるの!?」、「5年前のシャンパンや10年前のスパークリングワインって飲めないかな!?」、「常温に置いていたシャンパン腐ってる!?」、こういった質問はすごく多いです。

簡単に言ってしまうと、アルコール度数10%以上のワイン(シャンパン、スパークリングワイン含む)に賞味期限の概念はなく、そもそも賞味期限の表示を求めること自体がナンセンスとされます。(食品の国際規格、CODEX)

ただし、「飲み頃」というものはあります。

ワインの世界でよく聞く言葉である「飲み頃」とは、ワインのポテンシャルが生かされて美味しく飲める時期という意味。でもその飲み頃は、賞味期限ではなく、飲み頃が過ぎても腐敗するわけではありません。

というのも、シャンパンやスパークリングワインのアルコール度数は一般的に12.5%前後と高いため、抜栓しなければ腐ることはまずないと言われています。

ただ、これは適切な保存・管理がされている状態において言えること。

この保存・管理に問題があると、シャンパンやスパークリングワインを含むワインも劣化するので注意が必要。

ということで、今回は古いシャンパンやスパークリングワインは飲めるのか、常温だと腐るのか、劣化とはどういうことなのか見ていきましょう。

シャンパン、常温だと腐るの!?

はてな

ズバリ、ワインは賞味期限の概念がないので腐るという概念はないものの、「劣化」している可能性はあります

腐ると劣化の違いは、人体に影響があるかだそう。

ただ、劣化したワインがいくら人体に影響はないとはいえ、飲む気になれないもの。というより、私の実体験を踏まえると、飲めないはずです。

どういうことか、簡単に劣化についてみていきましょう。

シャンパンやスパークリングワインの劣化とは!?劣化の正体!

シャンパンやスパークリングワインの『劣化』とは、下記のいずれかの状態を指します。

  • 異臭がする
  • 変色する
  • 液漏れする
  • ガスが抜ける

そもそも、シャンパンの賞味期限についての記事にある通り、シャンパンやスパークリングワインはアルコールのため「腐る」という概念はなく、本来の品質を損なう(劣化)ということになります。

シャンパンやスパークリングワイン、劣化したらどんな不都合が生じるの!?

はてな

劣化したシャンパンやスパークリングワインは、飲む気力を削(そ)ぎます。具体的に下記のような不都合が起こる可能性あり。

異臭がする!

グラスに入ったスパークリングワイン

まず、シャンパンやスパークリングワインがかなり劣化すると、コルクを抜いた瞬間から異臭がします。実際、2度だけ劣化したシャンパンとスパークリングワインにあたってしまいましたが、やはり異臭で気付きました。

そして異臭がすると、飲む意欲が減退しますし、飲んでみたところで匂いが鼻から抜けるため、美味しさが半減。楽しめないのです。

実際にどんな異臭が発生するかというと、「蒸れた臭い」、「カビの臭い」、「獣(けもの)のような臭い」「湿った段ボールの臭い」、「硫黄の臭い」、「酸っぱい臭い」などがあります。

とにかく不快な臭いがしたら要注意。

ただ、硫黄の臭いだったり、ゆでた卵の臭いの場合は、グラスに注いだり空気に触れたりすると、消える可能性もあります。

いずれにせよ、不快かどうかで劣化の判断をすると良いと思います。

美味しくない!

並んでいるグラス

以前、飲めなくはないが、飲み進められないシャンパンに出会いました。ハーフサイズ(375ml)のシャンパンだったんですが、開けたら発泡が極端に弱く、濃密すぎる感覚。濃い白ワインのようだったんです。

異臭はしないんですが、どうも美味しく飲み進められない状態に。これは、過熟成によるもの。極度に酸化が進んでしまった状態で、ある意味劣化の範囲に入ります。

腐敗しているわけではないし、飲めないわけでもないけれど、なんだか美味しくないんですよね。

そして、そもそも異臭がする場合は、美味しく飲む前に、飲むことすら不快で苦痛になります。

量が少なくなる!

モエ ロゼ

これは、液漏れが原因の場合!

液漏れとは・・

ワインを高温で保存した場合、瓶内の温度も上がることで空気などが膨張し、コルクの形が変形した場合に、瓶との間にすき間ができ、そこからワインが漏れてしまうこと。

もちろん、漏れた分だけワインの量が少なくなります。

そして、すき間が出来て漏れたということは、もはやワインが空気と接触しているということ。結果的にガスは抜け、酸化が進む原因になるでしょう。

ガスが抜けた!発泡が弱い!酸っぱい?

泡

酸っぱくなるまでの劣化はほぼないと考えてOKです。お酢になるまでの劣化は今まで聞いたことがありません。

そもそもコルクは微量ながら空気を通します。これは自然な現象でガス交換と呼ばれるもの。詳しくはシャンパンの熟成についてでまとめていますが、セラーで保管されていたとしても、シャンパンは時間経過と共に少しずつ酸化していきます。

ということは、時間経過ともに瓶内の気圧は弱まり、発泡が弱くなっていくということ。常温での保管の場合など、適切な環境での保管が出来ていないと、温度によっては瓶内の気圧が高まることから酸化が進み、泡はさらに弱まります。

泡が弱くなっても多少であれば問題なく楽しめます。そもそもヴィンテージシャンパンなど熟成期間が長いシャンパンは、おのずと泡が少しずつ弱まってくるんですが、適切な環境で保管されている場合は問題なく楽しめることがほとんど。

よって、少し弱い程度であれば、「少し弱いな。」と、さほど気にならない場合も多いのですが、泡がほとんどないとなると・・・、もはや発泡性ワインの醍醐味がなくなりただのワインに。この場合は劣化の範囲に入ります。

また、滅多にありませんが、さらに酸化が続けば、究極はお酢のような異臭と酸味が出る状態に発展します。(まずないです。)

でも実際、「ワインビネガー」ってありますよね。お酢の1種ですが、あのビネガーの原料はブドウ果汁なのです。

これらが、シャンパンやスパークリングワイン劣化による不都合なのですが、

液漏れやガス抜けをしている場合、コルクが抜けてしまうのでは!?

と思う方もいらっしゃるはず。ちなみに、赤・白・ロゼワインなどの場合、液漏れはコルクが抜けてなくても起きてしまうように、シャンパンとスパークリングワインも、コルクは抜けずに漏れてしまう可能性が考えられます。

発泡性ワインなので、勢いでコルクが抜けてしまいそうですが、シャンパンやスパークリングワインの場合は、瓶内のガス圧によるコルク抜けを避けるために下記のようにコルクを針金で固定しているんですよね。

フィーヌ フルール ドー ブジー

よって、コルクは抜けにくい状態なのです。なので、液漏れをしてもコルクが抜けない可能性は高いです。

これらが、シャンパやスパークリングワインの劣化についてでした。こういった劣化は、保存・管理に気を付けていればほとんどありません。

でも、せっかく購入したシャンパンやスパークリングワイン、美味しく飲みたいですよね。出来る限り気を付けたいところです。

そのために、どうすると劣化に進むのか、原因を見ていきましょう。

なぜ、劣化するの!?劣化の原因は!?

はてな

シャンパンやスパークリングワインの劣化の原因は、大まかに、「生産過程に起因するもの」と「流通の過程や、販売者、消費者に起因するもの」の2タイプあります。

生産過程に起因する劣化といえば、「ブショネ」と言われるものがあります。

聞いたことがある方も多いかもしれませんが、コルクが使われているワインの場合、約5%の割合で自然発生してしまう劣化です。

コルクに着いた化合物によって起きてしまう劣化で、不快な臭いが発生し、それがワインにも移ってしまうもの。

よって、これは消費者にワインが手渡る前の生産過程で起きてしまいます。「湿った段ボールのような臭い」がすることで有名ですね。>>ブショネとは!?(エノテカさん)

一方、「流通の過程や、販売者、消費者に起因する」劣化の原因は、適切な保存環境に置かれていなかったから。

シャンパンやスパークリングワインは、紫外線や温度(熱)に弱く、高温多湿の状況下に長く保管されていたり、紫外線や一部の蛍光灯の光に晒(さら)されているとワインの劣化を起こしてしまいます。

シャンパンやスパークリングワイン、劣化しないようにするには!?

カーヴ

「生産過程」で起きてしまう劣化(ブショネ)や、流通過程や販売先起因で起きる劣化は直接防ぎようがありませんが、消費者として出来ることと言えば、

信頼できるショップでシャンパンやスパークリングワインを購入し、適切な保存環境(購入から移動環境含む)を出来る限り保つこと!

です。特に気を付けたいのが夏。"シャンパン、自宅での保存方法は?自宅保存の注意点!"という記事でも伝えましたが、保存するにあたっては、下記の通り注意が必要です。

  • 常温保存はNG。ワインセラーか、冷蔵庫で保存すること!
  • 冷蔵庫保存の場合は、ボトルを新聞紙にくるみ、早めに飲むのがオススメ。
  • 冷蔵庫保存の場合は、野菜室保存がベター!

そして、高温・多湿の夏にシャンパンやスパークリングワインを運ぶ場合は、購入してから移動時の環境にも注意を払うこと。配送であればクール便を選びましょう。

5年や10年前などの古いシャンパンやスパークリングワインって飲めるの!?

カーヴ

ズバリ、開けて確認してみましょう!

古いシャンパンが飲めるかどうかは、そのシャンパンがどのように保管・保存されていたか、保存環境が鍵を握ります。また、生産者起因の劣化(ブショネ)の可能性はどのワインにもあるため、開けてみて飲めるかどうかが分かります。

それに、長期間常温保存されていたワインでも「開けたら美味しく飲めた・・」というような話し、実際に結構あるのです。

つまり、保存環境が適切でなかった場合は劣化の可能性はありますが、開けてみないと分からないということ。

なので、まずは抜栓してみて、異臭がするか確認してみましょう。大丈夫そうなら一口含んでみる。少しでも香味に不快感があれば、劣化していると考えましょう。

ちなみに、保存環境が良ければ古いシャンパンやスパークリングワイン、私のこれまでの経験だと問題なく飲むことが出来ています。(泡は若干弱まっている可能性あり。)

実際、購入してから5年間セラーで保管されたシャンパンを飲んだことがありますが、美味。一切問題ありませんでした。「良いシャンパンは100年保つ」なんて言葉も聞くほどです。

常温保存のシャンパンやスパークリングワインは飲める!?

シャンパンやスパークリングワインを四季がある日本で常温保存しているとどうなるかというと、劣化の可能性が非常に高まります。

「では飲めないのか!?」と言われると、常温保存の環境や期間によって違うのでこれがまた難しいところですが、開けてみて判断すると良いと思います。

異臭がしたり、香味に不快感があったり、泡がなかったり、量が減っていたりしたらアウト、そもそも飲む気が起きないはずです。

ただ、この常温保存についても、長期で常温保存していたにもかかわらず美味しく飲めたという記事を何度か見たことがあります。それなりの高級シャンパンで熟成期間がとても長いものだったのですが・・。

常温保存をしている場所や地域によっては、案外適切な環境に該当する可能性があるのかもしれません。

ただ、基本的に常温保存は劣化リスクは高まるため、オススメしません。


以上が、古いシャンパンやスパークリングワインは飲めるのか、シャンパンやスパークリングワインの『劣化』についてでした。

せっかく購入したシャンパンやスパークリングワイン、劣化して美味しくないなんて、もったいない!

美味しさを担保したい、そんな場合は是非、劣化のリスク管理をしましょう。

それでは、また!

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